「夜の社交場」と言われる北新地の西側に隣接する堂島。江戸時代に大阪繁栄の基礎を作った米問屋が開設されて以来、商業やビジネスの街として知られてきた町で、大正昭和初期のレトロビルが点在するのも魅力のエリアです。そんな築50年以上を経たリノベーションビルのひとつの2階に、ユニークな書店があります。その名も〈本は人生のおやつです!!〉。店主の坂上友紀さんは、この古いビルの雰囲気が気に入ってこの場所に決めたと言います。

「ここでお店をやるようになってから、地域の方々が道端のお地蔵さんをいつもきれいにしてはったり、盆踊りや節分などの行事をずっと大切に続けていたりと、堂島の知らなかった一面を発見して、ますます惹かれています」

店主が惚れ込んだ本を売る書店

店内には、古本と新刊書の両方がぎっしり。そこには、近代・現代文学を中心に、デザイン本、ここでしか手に入らないZINEなど、本好きがわざわざ訪れるというのも納得な、店主のセレクトが光ります。

「この棚は知る人ぞ知る近代作家の古書ですが、この辺のジャンルがお好きな方がいてるんですよ。あと、以前はこの辺りには広告代理店さんがあってデザイン事務所が多かったのでデザイン関係の本は結構多いかもしれませんね。新刊書については、私が惚れ込んで『絶版になるまでうちで売ろう』と決めているもので、売れたらまた同じものを仕入れて常時店頭にあるようにしています」

大阪滞在中、あるいはその前後に読みたい「大阪本3冊」

この書店の特徴はそのラインナップだけでなくもうひとつあります。それは、読書カウンセリングというサービス。客の好みや要望などを聞いて、坂上さんが本を選んでくれるというものです。

「気軽な『どんな本を読んだらいいですか?』という相談から、『自分で選ぶと偏ってしまうので、人に勧められる本を読んでみたい』と依頼されるお客様もいます」
中には、定期便(複数冊を一定の期間でお送りする)で読書カウンセリングを利用している人もいるそう。店主がオススメしてくれる本が、新しい興味の扉を開けてくれるのです。

そこで坂上さんに、Zentis Osakaに滞在する方におすすめの本を選んでもらいました。選書のポイントは、大阪を自分流に味わうヒントになるような、またインスピレーションを与えてくれるような本です。
「大阪が舞台であるだけでなく、空気感や“らしさ”を楽しんでもらえるものを選びました」

その1:関西出身の作家による昭和〜平成の大阪を舞台にした小説

まず1冊目は、関西出身の作家による女の一代記的な小説『グランドシャトー』(高殿円著/文藝春秋)。

「1960年代の高度成長期から平成を舞台にして、その時代を生き抜く女性の姿を描いているのですが、大阪人が読むといろいろ『分かる』のが面白い。例えばタイトルの『グランドシャトー』は主人公が働く大阪京橋のキャバレーの名前なのですが、実際に1文字違いの〈グランシャトー〉というキャバレー(写真背景)が京橋にあるのは大阪で育った40代以上の人はみんな知っています! 今も流れているそうですが、昔テレビでよくグランシャトーのCMが流れていたからなんです。また、主人公たちの暮らす町は北新地や堂島からも徒歩で行ける中崎町。昔ながらの長屋が今も残っているので、小説の世界を実際に歩いて味わっていただけると思います」(坂上さん)

その2:大阪人のユニークな視点に夢中になる写真冊子

2冊目は自費出版の写真冊子、『銭湯下足札コレクション1』(けんちん著)です。表紙は銭湯にある昔ながらの下駄箱の鍵の写真ですが、実はこれ、関東と関西で少しデザインが異なるのだそう。表紙の写真は関西のもので鍵の木札を右斜めから差し込むようになっていますが、一方関東は木札を真上から差し込むタイプが多いとのこと。そこに着目して大阪の銭湯の下駄箱の鍵を撮影して集めたのが、著者のけんちんさん。団地や銭湯をこよなく愛する大阪在住のサラリーマンで、全国の銭湯や団地をめぐる活動をしている方だそう。

「その独自の視点にファンが多くて、けんちんさんの冊子は店頭に並べると売り切れてしまうんです。こちらに掲載しているお風呂屋さんの多くが現在も営業中のようなので、これをガイドに銭湯巡りをするのも面白いかもしれません」(坂上さん)

その3:大阪人が愛する大阪の作家といえばこの人!

そして坂上さんが、「大阪を味わう本といったら、やっぱりオダサクは欠かせません!」と熱く紹介してくれたのが、大阪の人々や暮らしを生き生きと描いた昭和の無頼派作家、オダサクこと織田作之助の『夫婦善哉 決定版』(新潮文庫)。

「オダサクの描く大阪人や街は、大阪人が納得するありようなんです。うんうん、おるなぁこういう人、とうなずきながら読んでしまう。そういう普遍的な大阪人が描かれているのに加えて、大阪の食べ物がいろいろ登場するところも、まさに『味わう本』という点で魅力的です。主に大阪ミナミの店が多いですが、このすぐ近所にも、この本に収録されている短編『アド・バルーン』に出てくる〈出入橋きんつば屋〉という甘味処(写真背景)が今もありますので、ぜひ寄ってみてください」(坂上さん)

 

これらの本は、Zentis Osaka 2階のRoom 001に置いてあります。ぜひ手にとって楽しんでください。

大阪で遊ぶとしたら、まず「キタ」にいくのか「ミナミ」にいくのか、というところから旅のプランは始まります。といっても、このエリア分けに明確な定義はないといいますから、少々ややこしいかもしれません。まずは、そのルーツをひも解きましょう。

街のルーツはキタもミナミも江戸時代

「ミナミ」は区で言えば中央区、駅でいうと難波駅や心斎橋駅周辺で、ネオンサインが眩しい道頓堀やレトロな風情を感じられる通天閣周辺など、ザ・大阪なイメージを堪能できる観光スポットがあります。その「ミナミ」のルーツは1615年に道頓堀の南側に芝居小屋が立ち並び、花街が誕生したことにあるそう。大阪の町人衆が集い作り上げた街が今にその気配を残し、大阪の賑やかさを象徴するエリアとなっているのです。
一方の「キタ」は区で言えば北区、駅だと梅田駅や北新地駅周辺のエリア。実は「ミナミ」の難波駅から「キタ」の梅田駅までは、地下鉄で1本10分足らずと、「キタ」と「ミナミ」は隣接したエリアです。「キタ」のルーツもやはり江戸時代に花街として賑わった地域であるという点で「ミナミ」と同じ。ただ、「ミナミ」には町人衆が集ったのに対し、こちらは中之島や堂島に各藩の屋敷が並んでいたこともあり、どちらかというと武家が遊ぶ街だったと言われています。その後には堂島に米市場が設けられ、裕福な米商たちの宴席としても、賑わいました。

大阪キタに大人の社交場・北新地あり

そんな成り立ちをこの街は記憶に残しているのか、今も「キタ」の中心的な繁華街である北新地といえば、高級歓楽街として知られています。バー、クラブ、小料理屋、和洋割烹などの飲食店約3000店舗が集まる北新地はいわば、財界人から芸能人やスポーツ選手までが集うサロン。情報交換をしたり親交を深めたりする接待の街として、昭和平成令和と時代を経て続いてきました。
だから若者にとっては少々敷居の高い街なのかもしれません。大阪で育った方曰く「年長者に北新地に連れて行ってもらうとなると、大人の世界を垣間見るような緊張と好奇心とが混ざり合う心持ちになったものです」とのこと。

今も変わらぬ北新地らしい夜を味わう

最近では、北新地にも値段も雰囲気もカジュアルな店が増えていて、かつてほど敷居の高い街ではなくなっているようです。とはいえ、ワイワイ楽しむならば大阪らしい賑やかさを味わえるミナミがあるわけですから、やっぱり北新地で夜を味わうのであれば、しっとりと落ち着いた気分で過ごしていただくのがおすすめです。
静かなバーや、カウンターだけの小さな小料理屋、あるいは老舗のスナックやクラブ。きっと大阪・北新地らしい時間を味わうことができるでしょう。

仕事でも休暇でも、旅先でいい1日を始めるにはコツがいります。たとえばお気に入りの音楽で目覚めるとか、あるいはいつも通りにシャワーを浴びて着替えるとか、しっかりと朝食を食べるというのも大切です。
そんな旅先の1日を、ランニングで始めるのはいかがでしょうか。まだ街が本格的に動き出す前に街を走り、体を目覚めさせるとともに、天気や気温、動き始めようとしている街の匂い、音に刺激されてきっと感性も覚醒します。
大阪キタに位置するZentis Osakaを起点に走るなら、堂島川沿いに中之島を走るランニングコースがおすすめです。
「堂島川沿いを東へ向かうこのコースは、ビルと歴史的建築の対比や中之島の文化施設や庭園など大阪の文化的側面を感じながら走れるのが魅力です。また、中之島公園の花と緑を楽しんだり、水の都・大阪を実感できるので、ランニングをされる方は、ぜひ走ってみていただきたいですね」
と、Zentis Osaka総支配人。それでは、ランニングが趣味だという総支配人が、コースを紹介します。

歴史建築とビルの対比を愛でる

Zentis Osakaの玄関を出たら右へ。堂島川にかかる歩行者専用の橋〈中之島ガーデンブリッジ〉で、まずはストレッチを。

〈中之島ガーデンブリッジ〉から中之島へ渡り、走り始めましょう。「まずは日本銀行大阪支店の旧館や中之島図書館、大阪市中央公会堂など、中之島にある名建築を眺めながら走ります。また、名建築とともに楽しんでいただきたいのが、堂島川にかかる石造りの古い橋。特に図書館の向かいの〈水晶橋〉(写真TOP)はアーチの美しさが特徴です」

中之島公園の花と緑を楽しむ

さらに川沿いの遊歩道を走り進めると、遊歩道の両側に緑が増えてきます。「この右手の植栽の奥には、国宝や国の重要文化財を含む4000点以上の陶磁器のコレクションを展示している〈大阪市立東洋陶磁美術館〉があります」

〈中之島バラ園〉は、大阪市内最大のバラ園です。春と秋には各種約4000株のバラが見事に咲くそう。その芳香の中を走りぬけ、中之島の東端を目指しましょう。

中之島の西と東を結ぶ〈ばらぞの橋〉から振り返ると、煉瓦造りに青銅屋根の〈大阪中央公会堂〉が見えます。

水の都・大阪を体感する

中之島の東端。「中之島を挟むように流れている堂島川と土佐堀川が合流します。前方から陽が昇り、気持ちの良いスポットです」という〈中之島公園 剣先噴水〉。ここまでで1.5km、折り返して3km。朝散歩としても楽しめる気軽な距離です。

もう少し走りたいという方は、中之島から川を右岸に渡り、さらに東へ。〈天満橋〉から振り返ると、中之島の東端にかかる〈天神橋〉、そして遠くにZentis Osakaも見えます。ここまでで2km、折り返して4kmのコースは心身の良いリフレッシュになるのではないでしょうか。

大阪城まで足を延ばす

まだ走り足りない!という方は天満橋から坂を登って、〈大阪城〉を目指しましょう。「坂を登って谷町2丁目の角を曲がると、真っ正面に大阪城の天守閣が小さく見えて、よしあそこまで!と励まされます」。大阪城の大手門まで3.5km。折り返して7kmの本格朝ラン達成で、自信に満ちた1日を過ごせるはずです。